Biography
立木貴也 作曲家/雅楽・笙 演奏家
大阪音楽大学作曲学科作曲専攻卒業。
在学中に雅楽と出会う。
作曲とピアノを久保洋子、土田英介、ピアノを故 茨木節子の各氏に師事。
笙を豊英秋(元宮内庁式部職楽部首席楽長)、林絹代、石川高の各氏に師事。
関西現代音楽交流協会会員、談山雅楽会講師。
国際芸術セミナーに参加。
ピアノをM.ジョスト、室内楽をP-Y.アルトー、P.モンティ、W.グリマーの各氏に師事。
2011年、クールシュヴェル夏期国際音楽アカデミーに参加、選抜コンサートに出演。
2013年、第13回武生国際作曲ワークショップを奨学受講生として受講。
同年、日仏現代音楽協会主催「A.ゴーサン作曲マスタークラス&コンフェランス」を受講。
また定期的に欧州に渡り研鑽を積んだ。
これまでに第9回TIAA全日本作曲家コンクール、第20回及川音楽事務所新人オーディション、
第25回京都芸術祭音楽部門新人賞、RISUONANZE incontri di nuove musiche (伊)、
第3回洗足現代音楽作曲コンクールなどで受賞・入選。
Beltaレコードより発売中の「光あるうちに~鈴木信夫の詩による歌曲集」に楽曲収録。
作品は日本はもとより、フランス・イタリア・メキシコでも演奏されている。

立木貴也は笙奏者として雅楽の伝統を受け継ぎつつ、その可能性を広げる革新的な活動を展開している。
雅楽古典に加え、現代音楽やクラシック・ポップスの編曲にも積極的に取り組み、
ジャンルを超えた表現を追求しており、繊細で美しい音色と確かな表現力で多くの聴衆を魅了している。
2017年にはジョイントリサイタル「笙とピアノの可能性の追求~古来から現代まで~」を開催し、
笙の新たな魅力を提示するとともに、雅楽の枠を超えた表現の可能性を示した。
また、正倉院に残る幻の楽器・竽(う)の演奏に取り組み、古代の竪琴・箜篌(くご)の復元製作と演奏にも力を入れている。
「竽」について

幻の響き— 竽(う)の魅力
竿(さお)や芋(いも)に似た字を書きますが、「竽」と書いて「う」と読みます。
笙よりひと回り大きく、奏でられる音は1オクターブ低く深く包み込むような響きを持つ楽器です。
奈良時代に中国から日本へ伝わり、雅楽に取り入れられましたが、平安時代中期には廃絶されました。当時の日本では、華やかで変化に富んだ音が好まれたため、音量が小さく、表現の幅が限られる竽は、大篳篥や箜篌(くご)とともに楽制の整理の中で姿を消したと考えられています。
現在、竽は正倉院に笙とともに3本ずつ伝えられています。
中国では紀元前から存在していたことが確認されており、リード楽器としては最古の歴史を誇ります。
その音色は笙のような光の輝きとは異なり、
太古の森や波間に漂うような、郷愁に満ちた柔らかさをたたえています。
もし竽が今も演奏されていたならば、どんな響きを奏でていたのでしょうか。
悠久の時を超え、眠れる音の記憶に耳を澄ませてみたくなります。